少額訴訟の特徴
早く、安く、簡単に!
少額訴訟とは、民事訴訟のうち少額の金銭の支払いをめぐるトラブルを速やかに解決するための手続きです。今までは、あきらめてしまっていた少額の金銭トラブルも、安く簡単な手続きで解決できるように工夫されています。
こんな時に!
- きれいに使っていたアパート。退去するのに大家さんが敷金を返してくれない。
- 大事なスーツをクリーニングでダメにされた。損害賠償金を請求したい。
- クーリングオフしたのに払ったお金が戻ってこない。etc...
メリット
- 60万円以下の金銭の支払いをめぐるトラブルに限って利用できる手続きです。
- 原則として1回の期日で審理が完了し、直ちに判決を言い渡します。何度も裁判所に足を運ぶ必要はありません。
- 証拠書類は、審理の日に調べられる物に限ります。
- 裁判所は、訴えを起こした人の請求を認める場合でも、分割払いや執行猶予の判決を言い渡すことができます。
- 少額訴訟に対して不服がある場合には、判決を裁判所に異議申し立てをする事ができます。
デメリット
- 金銭の支払い以外の物を請求するときは、少額訴訟ではできません。
- 相手方の所在が解らないときは、少額訴訟を起こすことはできません。
- 原告からは、訴え起訴後に通常訴訟での審理を求めることができません。
- 原告・被告ともに、異議の申し立てができるだけで、控訴することはできません。
- 分割払い、支払猶予、遅延損害金の免除の判決に対しては、異議を申し出ることはできません。
- 少額訴訟の利用は、同じ簡易裁判所に対して年間10回までと制限されています。
少額訴訟にかかる費用
訴状を提出する場合には、訴訟の目的の価格(素額)に応じた手数料を印紙で納付します。
そのほか、当事者の呼び出しなどに使用するため、郵便切手代を負担する必要があります。(裁判所により異なりますが、特別送達等を利用するため3,500円程度かかります。)
訴訟の目的の価格 | 手数料 |
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10万円まで | 1,000円 |
20万円まで | 2,000円 |
30万円まで | 3,000円 |
40万円まで | 4,000円 |
50万円まで | 5,000円 |
60万円まで | 6,000円 |
少額訴訟の手続きの流れ
1. 紛争の発生 |
60万円以下の金銭の支払い請求を求めたい!簡易裁判所の受付窓口に相談。 |
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2. 訴状提出 | 訴えをおこす人(原告)は裁判所に訴状を提出します。 ※裁判所に定型訴状用紙があります。 |
3. 訴状の受理 | ※少額訴訟になじまないときは裁判所の職権で通常訴訟になることがあります。 |
4. 第1回期日の指定 | 原告は、期日の連絡を受け、手続き説明書面を受領します。訴えられた人(被告)は、訴状副本、期日呼出状、手続き説明書面を受領します。 被告は、少額訴訟を望まないときは通常訴訟の手続きにしてほしいと申し出ることができます。 |
5. 答弁書提出 | 被告は、答弁書を提出します。 ※裁判所に定型答弁書用紙があります。 |
6. 答弁書の受理 | - |
7. 審理 | 原則1回で終了します。 ※証人が期日に出頭できない場合、電話会議システムを利用することがあります。 |
8. 判決・和解 | 判決:判決言い渡し ※裁判所は、支払猶予、分割払い、遅延損害金免除の判決を言い渡すこともできます。 ※判決に不服があり異議申し立てをすると簡易裁判の通常手続きになります。その判決に不服でも控訴はできません。 和解:話し合いによる解決 |